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糖尿病

はじめに

糖尿病は、血液中の糖(ブドウ糖)が高い状態が続く代表的な生活習慣病です。日本では約1,000万人が糖尿病に罹患しており、さらに約1,000万人が糖尿病予備群とされています。糖尿病の治療の主な目的は、血糖値を適切にコントロールし、多くの合併症の発症や進行を防ぐことにあります。

【重要な注意事項】

糖尿病の治療は、年齢、健康状態、生活環境、合併症の有無などによって異なります。このページの情報は一般的な内容であり、実際の治療方針は、個々の状況に応じて設定される必要があります。特に

  • 高齢の方
  • 合併症をお持ちの方
  • 他の疾患で治療中の方
  • 妊娠中の方
  • 生活環境に特別な配慮が必要な方

などは、慎重な治療が必要です。実際の治療については、必ず医師と詳しい相談を行ってください。

糖尿病とは

糖尿病は、インスリンの作用不足により血糖値が慢性的に高くなる病気です。主に以下の2つのタイプがあります

1型糖尿病
  • 膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなる
  • 主に若年期に発症
  • 自己免疫疾患による場合が多い
2型糖尿病
  • インスリンの分泌低下や、インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)
  • 最も一般的な糖尿病
  • 生活習慣や遺伝的要因が関与

糖尿病の診断基準

以下のいずれかに該当する場合、糖尿病と診断されます

  • 空腹時血糖値:126mg/dL以上
  • 75g経口糖負荷試験2時間値:200mg/dL以上
  • 随時血糖値:200mg/dL以上
  • HbA1c(NGSP値):6.5%以上

糖尿病の症状

初期症状
  • 口の乾き
  • 水分を多く摂る
  • 尿の量が増える
  • 疲れやすい
  • 体重減少
進行時の症状
  • 視力の低下
  • 手足のしびれ
  • むくみ
  • 傷の治りが悪い
  • 頻繁に感染症にかかる

糖尿病の原因と危険因子

生活習慣要因
  • 過食、特に高カロリー食
  • 運動不足
  • 肥満
  • ストレス
  • 喫煙
  • 過度の飲酒
その他の要因
  • 遺伝的素因
  • 加齢
  • 妊娠
  • 薬剤(ステロイドなど)

治療法の詳細

食事療法

基本的な考え方
  • 適正なカロリーの算出
  • 三大栄養素のバランス(炭水化物50-60%、タンパク質20%、脂質20-30%)
  • 食物繊維の積極的摂取(目標20-25g/日)
  • 規則正しい食事時間

実践的な食事管理のポイント

食事の基本構成
  • 主食:適量の炭水化物
  • 主菜:良質なタンパク質
  • 副菜:ビタミン、ミネラル、食物繊維
食材の選び方
  • 低GI(グリセミック・インデックス)食品
  • 食物繊維が豊富な食材
  • 良質な脂肪酸を含む食材
調理の工夫
  • 食材の切り方や調理法
  • 油の使用量をコントロール
  • 調味料の適切な使用
外食時の注意点
  • メニューの賢い選び方
  • カロリー表示の活用
  • 定食スタイルの活用

間食について

適切な間食の選び方
  • 低血糖予防のための間食
  • カロリー制限内での間食
  • 適切な食品選択
注意が必要な食品
  • 糖分の多い菓子類
  • 脂質の多いスナック菓子
  • 清涼飲料水

2. 運動療法

運動の種類と効果

有酸素運動

  • ウォーキング(1日30分以上)
  • 水中歩行
  • 自転車
  • 軽いジョギング

レジスタンス運動

  • 自重トレーニング
  • マシンを使用した筋力トレーニング
  • バンドトレーニング
運動時の注意点

運動前の確認事項

  • 血糖値のチェック
  • 水分補給
  • 運動に適した服装と靴

禁忌となる状況

  • 重症の網膜症がある場合
  • 重度の自律神経障害がある場合
  • 急性の感染症がある場合
  • 重度の足病変がある場合

低血糖対策

  • 運動前の血糖値確認
  • 補食の携帯
  • 運動強度の調整

3. 薬物療法

経口血糖降下薬の種類と特徴

ビグアナイド薬

  • 作用:肝臓での糖新生抑制、骨格筋での糖取り込み促進
  • 特徴:体重増加が少ない
  • 注意点:乳酸アシドーシスのリスク

DPP-4阻害薬

  • 作用:インクレチンの分解抑制
  • 特徴:低血糖が少ない
  • 副作用:まれに膵炎

SGLT2阻害薬

  • 作用:尿糖排泄促進
  • 特徴:体重減少効果あり
  • 注意点:脱水、性器感染症

スルホニル尿素薬

  • 作用:インスリン分泌促進
  • 特徴:強力な血糖降下作用
  • 注意点:低血糖に注意

インスリン療法の実際

インスリン注射の手技
  • 正しい注射部位の選択
  • 注射手技の実際
  • 注射部位の交替
インスリン製剤の種類と特徴
  • 超速効型:食直前に使用
  • 速効型:食事30分前に使用
  • 中間型:基礎インスリンとして
  • 持効型:24時間持続する
血糖自己測定(SMBG)の重要性
  • 測定のタイミング
  • 記録の付け方
  • 結果の解釈と対応

合併症の予防と管理

急性合併症

糖尿病性ケトアシドーシス
  • 重度の高血糖
  • 意識障害
  • 緊急治療が必要
高浸透圧高血糖症候群
  • 著しい高血糖
  • 重度の脱水
  • 高齢者に多い

慢性合併症

細小血管障害の管理

網膜症

  • 定期的な眼科検査(年1-2回)
  • 早期発見のための眼底検査
  • レーザー治療の適応

腎症

  • 尿中アルブミン測定
  • 腎機能検査
  • 血圧管理の重要性
  • 食事制限(塩分、タンパク質)

神経障害

  • 定期的な神経学的検査
  • フットケアの重要性
  • 痛みのコントロール

大血管障害の予防

動脈硬化性疾患の予防
  • 脂質管理
  • 血圧管理
  • 禁煙支援
  • 抗血小板薬の使用
心血管疾患の管理
  • 定期的な心電図検査
  • 運動負荷試験
  • 循環器専門医との連携

生活上の注意点

シックデイ(病気の日)の対応

基本的な対応
  • 血糖値の頻回測定
  • 水分摂取
  • 主治医への連絡
注意が必要な症状
  • 高血糖の症状
  • 脱水症状
  • ケトアシドーシスの兆候

感染症予防

日常的な注意点
  • 手洗い、うがいの励行
  • 適切な保温
  • 皮膚の清潔保持
ワクチン接種
  • インフルエンザワクチン
  • 肺炎球菌ワクチン

フットケア

毎日の観察
  • 傷やカットの有無
  • 変色や腫れの確認
  • 爪の状態チェック
適切なケア方法
  • 正しい爪切り
  • 適切な靴選び
  • 保湿ケア

仕事・旅行時の注意点

仕事での配慮
  • 規則正しい食事時間の確保
  • ストレス管理
  • 低血糖への備え
旅行時の準備
  • 薬やインスリンの携行
  • 血糖測定器の持参
  • 緊急時の対応準備

当クリニックのアプローチ

個別化された治療
  • 患者様の生活背景に合わせた治療計画
  • 段階的な目標設定
  • 定期的な治療効果の評価と調整
実践的な生活指導
  • 個々の生活リズムに合わせた具体的なアドバイス
  • 無理のない実行可能な目標設定
  • 継続的なサポート
合併症管理
  • 定期的な検査による早期発見
  • 他科との連携による総合的な管理
  • 予防的アプローチの重視
自己管理支援
  • 血糖自己測定の指導
  • 生活習慣記録の活用
  • 低血糖対策の指導

よくある質問(FAQ)

Q1: 糖尿病は完治しますか?

A1: 2型糖尿病は、生活習慣の改善により血糖値が正常化することはありますが、完全な「治癒」は難しいとされています。継続的な管理が重要です。

Q2: 甘いものは完全に禁止ですか?

A2: 完全な禁止は必要ありません。総カロリーと栄養バランスを考慮しながら、適量を摂取することは可能です。

Q3: 運動は毎日必要ですか?

A3: 毎日でなくても、週に150分程度の運動を目標にすることが推奨されています。ただし、継続性が重要です。

Q4: 合併症は必ず起こりますか?

A4: 適切な血糖コントロールと生活管理により、合併症の発症や進行を予防・遅延させることが可能です。

Q5: 薬は一生飲み続ける必要がありますか?

A5: 個人の状態により異なりますが、生活習慣の改善により薬の減量が可能な場合もあります。ただし、自己判断での中止は危険です。

結論

糖尿病は、適切な管理により十分にコントロール可能な疾患です。しかし、その管理方法は個々の状況によって大きく異なります。年齢、合併症の有無、生活環境など、様々な要因を考慮した個別の治療計画が必要です。

当クリニックでは、患者様一人ひとりの状況を丁寧に評価し、最適な治療プランを提案いたします。また、定期的な評価と調整を行いながら、継続的なサポートを提供していきます。
また当院では眼科も併設しているため、多くの方が合併しやすい眼の病気の定期診察もあわせて行うことができます。

糖尿病に関する不安や疑問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。私たちは、患者様の状況に合わせた最適な治療を提供し、より良い血糖コントロールと健康的な生活の実現をサポートいたします。

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