その鼻水・くしゃみ、風邪?内科医が教える『寒暖差アレルギー』と感染症の見分け方
執筆・監修:荻野 修平(医師)
専門分野:予防医学、栄養学、内科全般
秋の体調不良、風邪とアレルギーの区別は?
朝晩は冷え込み、日中は気温が上がるという激しい寒暖差が続くこの季節、「くしゃみや鼻水が止まらない」と体調を崩す方が増えています。
実は、この症状は風邪だけでなく、『寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)』かもしれません。風邪やインフルエンザの流行期に入る前に、自分の不調の原因を正しく見極めることが重要です。
今回は、内科医の視点から、寒暖差アレルギーのメカニズムと、風邪・感染症との見分け方、そして免疫力を高める予防法を詳細に解説します。
内科医が語る!寒暖差アレルギーの正体
寒暖差アレルギーは、アレルゲン(花粉やハウスダスト)が原因ではありません。主な原因は、激しい気温差による自律神経の乱れです。
1.自律神経の過剰反応:
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体温を一定に保とうとして、自律神経が血管の収縮・拡張を繰り返します。この過剰な反応が鼻の粘膜にも起こり、血管が広がって鼻水が止まらなくなったり、粘膜が腫れて鼻づまりを引き起こしたりします。
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2.症状の特徴(風邪との決定的な違い):
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風邪: 鼻水や痰が黄色や緑色になる、喉の痛みや発熱を伴うことが多い。
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寒暖差アレルギー: 鼻水が透明でサラサラしている、くしゃみが出る。喉の痛みや発熱はほとんどない。症状が気温の変化に連動して出やすい(例:暖かい部屋に入った瞬間、朝起きた瞬間など)。
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発熱がない場合でも、症状が長引く際は、内科で一度チェックを受けることが重要です。
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予防医学!免疫力を下げないための習慣
これからインフルエンザなどの感染症が本格化する前に、寒暖差による免疫力の低下を防ぐ対策が不可欠です。
1. 自律神経の負担を減らす「服装・温度調節」
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首元を温める: 首元には太い血管が通っており、ここを温めることで全身の血行が良くなり、自律神経の負担が減ります。スカーフやハイネックの衣服を活用しましょう。
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温度差を5℃以内に: 屋内と屋外、または部屋ごとの温度差を5℃以内にとどめるよう意識し、体が急激な温度変化に晒されるのを防ぎます。
2. 粘膜バリアを強化する「栄養学的なアプローチ」
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体を内側から「温める」食事: 生姜、ネギ、ニンニクなど、血行を促進する食材を積極的に使いましょう。温かいスープや味噌汁を食事の最初に摂る習慣が有効です。
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ビタミンA・Cの補給: 粘膜の再生を助けるビタミンA(緑黄色野菜、レバー)と、免疫細胞をサポートするビタミンCを意識的に摂ることで、粘膜バリア機能を高めます。
3. 規則正しい生活で自律神経を安定
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入浴で副交感神経を優位に: 38~40℃のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、自律神経のバランスが整い、質の良い睡眠につながります。
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▶自律神経を整える方法はこちら: 「疲れが取れないのは気のせいじゃない。内科医が教える『秋バテ』の正体と自律神経の整え方」
静岡ひかり医院からのメッセージ

この時期の不調は、単なる寒暖差だけでなく、免疫力が低下しているサインかもしれません。これから迎えるインフルエンザシーズンに備え、体調に不安を感じたら、自己判断せずにご相談ください。
【参考資料】
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厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
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国立感染症研究所「感染症情報」:https://www.niid.go.jp/niid/ja/id.html
【免責事項】 このブログ記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の症状の診断や治療を代替するものではありません。ご自身の体調に不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。
