「少量の飲酒は健康に良い」は間違い?内科医が教える最新の飲酒ガイドライン
執筆・監修:荻野 修平(医師)
専門分野:予防医学、栄養学、内科全般
「お酒は百薬の長」はもう古い?
「少量の飲酒は健康に良い」「お酒は百薬の長」という言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。 しかし、近年の大規模な研究では、この通説に警鐘が鳴らされています。特に、「健康に良いとされる飲酒量はない」という見解が主流になりつつあります。
今回は、内科医の視点から、最新の飲酒ガイドラインに基づき、アルコールが体に与える影響と、正しい飲酒との向き合い方について解説します。
アルコールが体に与える影響
アルコールは、少量であっても様々なリスクを伴います。
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がんのリスク:
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世界保健機関(WHO)は、アルコール摂取量に関わらず、全てのがんのリスクを高めると警告しています。特に、食道がん、肝臓がん、大腸がんなどのリスクが上昇します。
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生活習慣病のリスク:
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アルコールは、中性脂肪を増やし、肥満や脂質異常症の原因となります。また、高血圧や糖尿病のリスクも高まります。
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▶生活習慣病と健康診断の関係はこちら: 「健康診断で『要精密検査』と言われたら?内科医が教える不安の解消法」
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依存症のリスク:
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少量の飲酒でも、習慣化することでアルコール依存症になるリスクがあります。
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内科医が教える!正しい飲酒との向き合い方
お酒を楽しむことは、心の健康にとって大切な側面もあります。無理にやめるのではなく、以下のポイントを意識しましょう。
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「適量」ではなく「ゼロ」を目指す日を作る:
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毎日飲酒する習慣がある方は、週に2日はお酒を飲まない「休肝日」を設けましょう。これにより、肝臓を休ませ、依存症のリスクを減らすことができます。
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飲酒量を記録する:
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ご自身の飲酒量を把握することは、健康管理の第一歩です。日々の飲酒量を記録し、飲みすぎを防ぎましょう。
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飲酒の際は、食事も一緒に:
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空腹時にアルコールを摂取すると、血中アルコール濃度が急激に上昇し、体に負担がかかります。飲酒の際は、タンパク質や野菜を一緒に摂りましょう。
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静岡ひかり医院からのメッセージ
「少量の飲酒は健康に良い」という考え方は見直されつつあります。大切なのは、お酒を飲むこと自体に良い効果を求めるのではなく、ご自身の体と向き合い、健康的な飲酒習慣を築くことです。
もし、ご自身の飲酒習慣や健康状態についてご不安な点がありましたら、ご相談ください。
静岡ひかり医院について
静岡ひかり医院は、内科医が生活習慣病の予防と管理を、眼科専門医が目の健康をサポートするクリニックです。
【参考資料】
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厚生労働省「e-ヘルスネット:飲酒と健康」:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol
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世界保健機関(WHO)「アルコールとがん」:https://www.who.int/health-topics/alcohol#tab=tab_2